ソリューション事業ブランド「IGNITURE」

家庭、法人、地域社会に「最適解」を提供し、
豊かな未来の実現を目指す

Ignite + Future

東京ガスは、提供する3つの価値「脱炭素」「最適化」「レジリエンス(回復力・強じん性)」で、ソリューションを提供するための新ブランドを立ち上げた。その名も「IGNITURE(イグニチャー)」。長年同社が培ってきたエネルギーマネジメントのノウハウやグリーントランスフォーメーション(GX)などの技術を生かし、一般家庭や法人、地域社会に「最適解」を提供することで、豊かな未来の実現を目指す。IGNITUREの概要や今後のアプローチなどを東京ガスの清水精太 執行役員 総合企画部長に聞いた。

脱炭素・最適化・レジリエンス
3つの課題にソリューション提供

――2023年11月に立ち上げた、IGNITUREに込めた思いを教えてください。

清水精太 執行役員 総合企画部長
清水精太 執行役員 総合企画部長

IGNITUREは、灯す(ともす)を意味する英語の「Ignite(イグナイト)」と、未来を意味する「Future(フューチャー)」を掛け合わせた造語です。脱炭素や最適化、レジリエンスは未来永劫(えいごう)重要な課題です。東京ガスとしてエネルギーを販売するだけでなく、先進的で多様なソリューションを提供することで様々な社会課題の解決に努め、明るい未来づくりに貢献していく――。そんな決意を込めてネーミングしたソリューション事業のブランドがIGNITUREです。

清水精太 執行役員 総合企画部長
清水精太 執行役員 総合企画部長

――東京ガスは2023年2月に公表した中期経営計画「Compass Transformation 23-25」の中で、主要戦略の一つに「ソリューションの本格展開」を掲げています。

まさにそれを具現化するのがIGNITUREです。東京ガスには「安心・安全・信頼」というコーポレートブランドがありますが、そこからは想起しづらい新たな価値も提供していくためにソリューション事業をブランド化しました。このソリューション事業をガスや電気に次ぐ東京ガスの第三の柱に育て、成長へとつなげます。

課題・ニーズ

ソリューション開発のキーワードは
「ハード」「ソフト」「コネクテッド」

――具体的にどのようなアプローチを考えていますか。

ソリューションを提供する先は「ご家庭」「法人」それに「地域・コミュニティ」です。東京ガスは太陽光発電システム、家庭用蓄電池、電気とお湯を同時につくり出すエネファーム(家庭用燃料電池)などの脱炭素やレジリエンスにつながる機器を販売しており、家庭向けにはその設置提案がまず考えられます。

ただし、脱炭素やレジリエンスにつながるハード機器を販売して終わりではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しながら、IT(情報技術)を駆使したソリューションも絡め、常時お客さまとつながったコネクテッドな状態を維持していきます。エネルギーマネジメントや機器を管理・制御することで稼働を最適化し、お客さまの便益最大化に努めていきたいですね。

快適な暮らし いつでも安心できる暮らし 地球にやさしい暮らし

――常につながった状態ならば、ユーザー側も困った時や非常時も安心ですね。

法人向けでは、エネルギー供給をはじめ機器や設備の最適管理・制御のためのサービスなどを既に展開中ですが、今後は人工知能(AI)なども絡めてレベルアップを図ります。モジュール化したソリューションを複数ラインアップし、それらを組み合わせて提供することで、企業側の多様なニーズにきめ細かく対応していきます。東京ガスには長年培ってきた数々の知見やノウハウ、技術があります。それらを駆使すれば、課題解決に向けた計画立案段階から具体的な設備の導入・管理面、さらには報告業務まで一貫したサポートが可能です。そのためのコンサルタント業務も提供します。

――法人向けも同様、ソリューション開発のキーワードは「ハード」「ソフト」「コネクテッド」になりますね。

地域・コミュニティ向けでは脱炭素などを巡る自治体との包括連携協定の締結などが出発点です。それをきっかけに非常時にも都市機能を維持できる「レジリエント」な街づくりやカーボンニュートラル、循環型社会の実現に向けて力を合わせていきます。

生産性の高いビジネス サステナブルなビジネス 安定したビジネス

社内体制を整備・拡充
「点」から「線」「面」へつなぐ

――IGNITUREブランドを含むソリューション事業で2025年度までに3100億円の売り上げ目標を掲げています。目標達成に向けた戦略を聞かせてください。

ソリューション開発機能を強化するために、まずは社内体制を整備・拡充します。部署ごとに分散していたサービス開発部隊を今春、新設する「ソリューション共創本部」に集約し、IGNITUREという傘の下でソリューション開発に一貫性を持たせます。情報提供はもちろん、お客さまが抱える課題にもしっかりと寄り添い、単体ではなく包括的なソリューションの提供に努めます。

「カスタマージャーニー」と呼ばれる視点で、ソリューションを「点」から「線」や「面」へとつなげ、適切にマネジメントしていきます。日々のエネルギー供給を通じ、お客さまが今、どのような状況に置かれているのかを把握できている東京ガスだからこそ可能なサービスを地道に一つひとつ積み上げていきます。

ソリューションを第三の柱に 売上高3.100億円

脱炭素でも「我慢しない省エネ」
強じん化で、都市機能を常に維持

――ソリューション提供の先に東京ガスが描く「実現する豊かな未来」とは、どのようなイメージですか。

東京ガスは「我慢しない省エネ」を提唱してきた経緯があります。生活や企業活動のクオリティー・競争力を下げることなく、同時に省エネも両立させる。それこそが重要だと考えたからです。脱炭素もまた然(しか)り。両立させて「最適化」していく過程で、東京ガスが果たせる役割はまだまだあると認識しています。

――レジリエンスの観点ではどうでしょう。

残念ながら日本は自然災害や地震も多い。ガス管などの耐震性強化やインフラの復旧スピードの向上などにも東京ガスはこれまで努力してきましたが、IGNITUREのソリューションで都市機能を常に維持できるようにして、人々から不安な要素を取り除いていく。そのような社会も豊かな未来の姿の一つではないでしょうか。

カーボンニュートラル社会の実現 循環型社会の実現 強靭な都市インフラの構築

東京ガスにとって「第三の創業期」
「論語と算盤」の教え忘れず

――東京ガスのこれまでを振り返ると、挑戦の歴史ともいえます。

渋沢栄一がこの会社を創業したのは1885年にさかのぼります。東京ガスでは、日本に初めてLNG(液化天然ガス)を導入した1969年を「第二の創業期」、IGNITUREの提供価値でもある「脱炭素」に向けて取り組む現在を「第三の創業期」と捉えています。東京ガスは2019年11月、日本のエネルギー業界で最初に「CO2の排出をネットゼロにすることに挑戦する」と宣言した企業で、ビジネスモデルのトランスフォーメーションに乗り出したという点でも、第三の創業にふさわしいのではないでしょうか。

――渋沢といえば著書の「論語と算盤(そろばん)」が有名です。

清水精太 執行役員 総合企画部長
清水精太 執行役員 総合企画部長

渋沢がその著書で説いたのは「論語の道徳的な精神と収益性を意味する算盤とのバランスを踏み外さないようにすること」。そう私は捉えています。東京ガスは公益事業者である一方で、株式を上場し利益を追求する企業です。渋沢の教えを忘れるわけにはいきません。

清水精太 執行役員 総合企画部長
清水精太 執行役員 総合企画部長

――最後に電子版読者へIGNITUREにかける思いやメッセージをお願いします。

東京ガスはエネルギーを供給するだけの会社ではなく、今後も様々なステークホルダーに常に必要とされる存在であり続けたいと願っています。その強い思いをソリューション事業ブランドという形でコミットメントするものがIGNITUREです。脱炭素、最適化、レジリエンスで何か困りごとがあればぜひご相談ください。ソリューション事業ブランドとしての「最適解」を導き出します。東京ガスが「GX×DX」という領域で提供する新たな価値に、ご期待ください。

世界がこれから求めるソリューションを。

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